最大心拍数の予測式4選!その特徴と活用法

※本ページにはプロモーションが含まれています

ランニングをしている人で、心拍数の記録をできる時計を使用している人はとても多いです。自分で脈をとって計測する必要がなく、記録も残せて運動後に見返せるので非常に便利です。

ですが、その数値の活用はできているでしょうか?

記録された自分の心拍数データを最大限活用するには、「最大心拍数」の知識が欠かせません。

自分の心拍数が最大でどこまで上昇するのか。それを知ることは、運動負荷の強さを調整するときに重要なことになります。例えば、「有酸素運動であれば最大心拍数の60~70%の範囲で行うと良い」、あるいは、「心拍数が〇〇だったということは運動負荷は△△%くらいだった」という具合です。

この記事では、最大心拍数の予測式を4つ紹介し、その活用法を解説します。

ナマケモノ
ナマケモノ

結論からいうと、最大予測心拍数の予測計算式は「208-0.7×年齢」がおすすめです。

有酸素運動を行う場合、最大心拍数の60~70%というのが標準的になります。

より負荷を高めたい場合は70~80%、運動を始めたばかりであれば50~60%がよいです。

この記事を読むと
  • 4つの最大心拍数の予測式の特徴を知り、自分がどの予測式を使うか決めることができる。
  • 自分の運動負荷の調整を自信をもって行えるようになる。

私が使用しているGPSウォッチはこちらです↓

最大心拍数の予測式4選とその生い立ち

最大心拍数は人により様々で、その人の最大心拍数を知るには実際に限界まで負荷をかけて心拍数を測定しなくてはなりません。限界まで負荷をかけるのは苦痛を伴いますし、また心臓への負担にもなります。

そこで登場するのが「予測最大心拍数」です。最大心拍数は年齢によって低下することが分かっていますので、年齢をもとに最大心拍数を予測する式が存在しているのです。これにより、最大心拍数を推定し、運動中の目標心拍数を決めてトレーニングできます。

それでは、これから4つの予測式をお伝えします。

220-年齢

「220-年齢」は最も古く、最もシンプル、そして最も世の中に浸透している予測式です。

正確な起源は不明らしいのですが、FoxとHaskellが発表した論文(The exercise stress test:needs for standardization.In:Cardiology Current Topics and Progress,Academic Press,New York,1970)で「220-年齢」という予測式が初めて科学論文に登場したとのことです。

最大心拍数と年齢の関係について、それまでの米国とヨーロッパの報告を再調査して1970年に発表した論文です。「220-年齢」とシンプルなのですが、その欠点は標準誤差が約7~12拍/分と高いことです。つまり、計算された値から大きく外れる人が出るということです。

下記のサイトの論文の一節で説明されています。ちなみに、英文です。

この式は、若年層の最大心拍数を過大評価し、高齢者層では過小評価する傾向があります。つまり、加齢による最大心拍数の低下が大きいということです。1年で1拍低下していくことになります。

208-0.7×年齢

「208-0.7×年齢」は、2003年に田中らにより発表された「Age-predicted maximal heart rate revisited(年齢予測最大心拍数の再考)」という論文で導き出された予測式です。

下記のサイトはその論文の要約です。

私がさらに要約すると、以下のようになります。

  • 予測最大心拍数は「220-年齢」という式が一般的に使用されているが、その式が妥当なのかは、十分な数の高齢者を含むサンプルで確認されていなかった。
  • メタアナリシスという研究手法を用いて351の研究、492のグループ、18712の被検者の最大心拍数のデータを収集し分析した。この分析の結果、最大心拍数は年齢と強い関わりがあり、その式は208-0.7×年齢となった。 
  • この計算式は性別、運動習慣にも影響を受けていなかった。
  • 「220-年齢」の式は高齢者の最大心拍数を過小評価していることを示唆している。

メタアナリシス(meta-analysis)とは、複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析しようとする研究手法です。標準誤差は約10拍/分だそうです。標準誤差については後で解説します。

信頼性が高く、最近は「220-年齢」に並んでよく使われている予測式です。

211-0.64×年齢

「211-0.64×年齢」は、2012年に発表された「Age-predicted maximal heart rate in healthy subjects(健康な被験者の年齢予測最大心拍数)」という論文で登場しました。

下記のサイトはその論文を要約したものです。またまた英語です。

要約を私がさらに要約すると、以下のようになります。

  • HUNT フィットネス調査 (2007 ~ 2008 年) のデータを使用して、幅広い年齢層の健康な男女 3,320 人を対象に、 最大心拍数と年齢の関係を調べた。
  • 最大心拍数を予測する式は「211-0.64×年齢」(推定標準誤差10.8)となった。
  • 性別、身体活動、最大酸素摂取量、BMIの違いは、最大心拍数にそれほど大きな影響を与えていなかった。
  • この年齢のみで予測される最大心拍数は多くの人にとって便利かもしれないが、推定標準誤差が10.8拍/分もある。つまり、式から大きく外れる人もけっこういるということを考慮する必要がある。

データの数は2つ目より少ないですが、紹介する4つの中では最新の情報です。

210-0.5×年齢

「210-0.5×年齢」は、「アマチュアアスリートの心拍数」というタイトルで書かれたフランス語の論文で紹介されています。

著者はFrançois Saint PierreさんとJean Paul Brackmanさんとのことです。お二人の詳細は分かりませんでした。ですので、記事の信頼性に関しては何とも言えません。発表時期も不明です。

論文全体は最大心拍数以外の内容についても多岐にわたり論じられています。最大心拍数を予測する式に関する内容のみについて要約すると、以下のようになります。

  • 研究はアマチュアスポーツ選手の男女40人を対象とした。年齢層は異なる。対象者は2〜4回/週の頻度でスポーツを楽しむ、中程度のアマチュアスポーツ選手とした。対象者はジョギング(レクリエーションや小さな競技)を行っており、一部はサイクリングもしていた。
  • 練習レベルが心拍数に大きな影響を与えることが明らかになった。最大心拍数は年齢とともにわずかに低下する傾向があるが、低下の度合いは運動レベルによって異なる。高いレベルのスポーツ選手では低下がわずかであった。非スポーツ選手では低下が顕著で、最大心拍数の低下は年間に1と推測された。
  • 今回サンプルとなった中等度のアマチュアスポーツ選手向けの式は『最大心拍数=210-0.5×年齢』となった。
  • 高いレベルのスポーツ選手では計算した最大心拍数にやや数値を上乗せし、少し練習量が少ない選手の場合は数値を下げる必要があるかもしれない。

サンプル数が少ないのが気になりますが、最初に紹介した2つの式と違い研究対象をアマチュアスポーツ選手に絞っています。こちらの研究者は「練習レベルが心拍数に大きな影響を与えることが明らかになった」と書いています。この考えに基づくと、「2〜4回/週の頻度でスポーツを楽しむ、中程度のアマチュアスポーツ選手」に該当する人にとっては、この式がうまくはまるということになります。

ただし、3つ目の研究や他の研究では、運動習慣・身体活動の違いは最大心拍数にそれほど大きな影響を与えていないという結果が出ています。

予測式の信頼性と限界

高負荷をかける必要のない予測式は便利ですが、あくまでも予測式なので限界があります。『208-0.7×年齢』の予測式の研究では、推定標準誤差は約10拍/分であると記載があります。これは、100人ランダムで調査をすれば、式で計算された値±10拍/分の範囲から外れた人が32人はみつかるということになります。また、100人調査すれば、式で計算された値±20拍/分の範囲から外れた人が5人はみつかるということになります。

具体的にいうと、40歳の予測最大心拍数は180です。100人調査した場合、170~190の範囲におさまる人が68人で、その範囲外の人が32人いることになります。160~200の範囲におさまる人が95人で、その範囲外の人が5人いるということになります。

これを聞いてどのような印象を受けるでしょうか。私は、「標準誤差10拍/分は範囲が広い」と感じます。私自身、39歳で練習を再開した頃に、最大心拍数は190以上を観測したことがあります。±10拍/分の範囲外にいる32人の一人というわけです。

下の画像は、私が9kmを6分08秒/kmでのんびり走ったときのもので、赤枠の区間の平均心拍数は139拍/分です。もし180が私の最大心拍数だとすると139÷180×100=77.2なので、約77%の負荷ということになります。そこまでハードな感じはありません。

の~んびり走った区間のHRは平均139拍/分。これで77%?

ですが、私の最大心拍数を195で計算すると、139÷19.5×100=71.2です。運動負荷は約71%でだいぶマイルドになります。これなら納得です。

ただ、誤差が大きいからといってこの式が全く使えないとは思いません。限界までの運動負荷をかけなくてもおおよその最大心拍数が予測できるので、苦痛やリスクを回避して運動負荷を設定できるというメリットがあります。

運動を行う中で計算式では説明できないような心拍数(予測値よりも高すぎる、など)がみられれば、実際の値を最大心拍数として運動負荷を判断するとよいでしょう。

年齢別の予測最大心拍数

今回紹介した4つの式で予測される最大心拍数は以下のとおりです。

緑色はその年齢の最高値。赤色はその年齢の最低値です。黄色は、「220-年齢」と他の3式が同じ値になるポイントです。

「220-年齢」は40歳以降4つの式で最低値となり続け、その差は大きくなる一方です。高齢者の最大心拍数を過小評価している可能性は高いですね。

最も最大心拍数が高めに出ているのは4つ目の式です。

最大心拍数の活用方法

心拍ゾーン

運動時の心拍数が最大心拍数に対してどのくらいの割合なのかによって、5つのゾーンに分けられます。これにより、自分の運動が何%の負荷になっているのか、何の効果があるのかを知ることができます。

GARMIN(https://support.garmin.com/ja-JP/?faq=1BuYR3HJlR2QSALSOag8C7)とPOLAR(https://www.polar.com/blog/ja/heart-rate-zones/)のサイトの情報を統合

運動中の心拍数から運動負荷を知る方法

運動中に観察された心拍数から、何%の負荷なのか計算することができます。

心拍数÷最大心拍数×100=運動負荷(%)

先ほども出てきましたが、40歳の人が運動中に139拍/分だった場合は、139÷180×100=77.2%という具合です。

最大心拍数と運動負荷から目標心拍数を設定する方法

最大心拍数に運動負荷をかけると目標心拍数が算出されます。

最大心拍数×運動負荷(%)=目標心拍数

例えば、40歳の人が70%の負荷で運動をしたい場合、最大予測心拍数は180です。

180×0.7=126拍/分となります。

計算結果の一覧を掲載します。

例えば、私の最大心拍数をおよそ195として70~80%の負荷をかけたいのであれば、136~156拍/分の間で走ると良いわけです。

まとめ

自分の心拍数が最大でどこまで上昇するかは、運動負荷の調整にとって重要です。年齢によって最大心拍数は異なり、予測最大心拍数を知ることで安全に目標心拍数を設定できます。ただし、予測式には誤差も大きく存在しますので、それは考慮する必要があります。

代表的な予測式として「220-年齢」が広く知られていますが、その信頼性には疑問があります。ほかに、「208-0.7×年齢」「211-0.64×年齢」「210-0.5×年齢」といった予測式が発表されています。信頼性が高く最近よく使われるのは「208-0.7×年齢」です。

予測最大心拍数を知り、適切な運動範囲を把握することで、効果的なトレーニングが可能になります。

  • 心拍数÷最大心拍数×100=運動負荷(%)
  • 最大心拍数×運動負荷(%)=目標心拍数

最大心拍数を利用して安全かつ効果的な運動を行い、自分を成長させていきましょう。

ナマケモノがおすすめするコスパの良い、心拍数の測定精度が高いGPSウォッチはこちらです↓

コメント

タイトルとURLをコピーしました