全身持久力とは「運動を長く持続できる能力」と定義されます。
フルマラソン、トライアスロン、いずれにおいても速く長く移動するには全身持久力が重要です。
では、この全身持久力を向上させるための運動として適切な運動の強度・時間・頻度はどの程度かご存じでしょうか?
あまり知らず、とにかく頑張って走っているという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、全身持久力を向上させるトレーニングの適切な強度・時間・頻度について解説します。
キツすぎず軽すぎず、ちょうどよい負荷のトレーニングをして、効率よく全身持久力を高めていきましょう!
適切な運動強度・時間・頻度
全身持久力を改善するための適切な運動強度・時間・頻度は、以下のように言われています。
一般的に70~90%HRmax(50~85%VO2maxに相当)もしくはLT(lactate threshold:乳酸性作業閾値)付近くらいでトレーニングすると全身持久力は改善する。
持続時間は、70%HRmaxであれば20~30分、90%HRmaxでは10~15分、70%HRmax以下であれば45分程度の持続時間が適当とされている。
運動頻度としては、2~5回/週が適当とされているが、オーバートレーニングにならないように注意すればできるだけ頻度が高いほうが良いとされている。
引用:市橋則明(2012)『運動療法学』文光堂:p207
これをもとに、私が簡単に説明します。
適切な運動強度
最大心拍数の70~90%が適切。
最大予測心拍数の式
【おすすめ】最大予測心拍数=208-0.7×年齢
【古典的かつ有名】最大予測心拍数=220ー年齢
目標心拍数=最大予測心拍数×0.7~0.9
最大予測心拍数については予測式が数種類あります。
例えば、40歳の人の最大予測心拍数は208-0.7×40=180、あるいは220ー40=180です。限界まで追い込んだ場合に心拍数が180までは上昇すると予測できます。
それに対して70~90%が適しているということなので、180×0.7~0.9=126~162と計算します。
つまり心拍数126~162拍くらいの運動をすると、全身持久力が向上するということになります。
計算したものを載せますので参考にしてください。
スマートウォッチやGPSウォッチを装着して運動をすれば、リアルタイムで心拍数を測定できますので、目標心拍数の範囲に収まるようにペースを調整することができますね。
それ以外の指標として「最大酸素摂取量の50~85%」というものもありますが、最大酸素摂取量は特別なの設備がないと測定できませんので現実的ではありません。
「AT:無酸素性作業閾値」「LT:乳酸性作業閾値」付近での運動も適しているのですが、これについても運動中に厳密には計測できません。
運動中の自覚症状や心拍数を手掛かりに、「AT・LTくらいかな~」と思いながら練習します。
やはり、心拍数を測定しながら目標心拍数で走るのが最適でしょう。
適切な持続時間
強度が高ければ短時間でも効果が出て、強度が低ければ長時間の運動が必要です。
・最大心拍数の90%なら 10~15分
・最大心拍数の70%なら 20~30分
・最大心拍数の70%以下なら 45分程度
適切な運動頻度
週に2~5回
オーバートレーニングにならなければ、頻度が高いほうが効果が高いとされています。
練習の頻度を最小にしたい人にオススメの練習は?
当サイトのコンセプトは最小限の練習で成果を出すことです。まず運動頻度は最小の週2回とします。
あとは運動強度と運動時間の設定です。運動頻度を最低にするので、そのぶん強度と時間は高めに設定しましょう。
フルマラソンのタイムを短縮したい場合の練習メニューの例を挙げます。
運動時間を高めたもの:「距離走」
最大心拍数の70%を下回らないペースで、できるだけ長く走ります。距離が長すぎると故障の原因となりますので、距離の設定は慎重に行います。一気に距離を延長させるのではなく、関節に痛みがでないことを確認しながら、少しづつ距離を延ばしましょう。
運動強度を高めたもの:「ペース走」
最大心拍数の90%を超えないペースで、できるだけ長く走ります。
フルマラソンの目標タイム別に、ペース走の目標ペースを載せておきます。このペースで走ると最大心拍数の90%近くになると思います。
先ほど引用した「運動療法学」では、最大心拍数の90%なら運動時間は10~15分が適当と記載されていましたが、全員がそれでよいとは思いません。最初は10~15分で限界かもしれませんが、体は慣れてきます。フルマラソンのタイムを短縮したいのであれば、可能な範囲で距離・時間を延長させていきましょう。
ちなみに、フルマラソン・サブスリー直前の私は、1km4分で連続18km、休憩しながら30kmまで走ることができていました。
まとめ
全身持久力向上のための一般的なトレーニングの設定は以下の通りです。
【強度】
最大心拍数の70~90%
目標心拍数=最大予測心拍数×0.7~0.9
最大予測心拍数の式
おすすめ:最大予測心拍数=208-0.7×年齢
古典的かつ有名:最大予測心拍数=220ー年齢
【時間】
・最大心拍数の90%なら 10~15分
・最大心拍数の70%なら 20~30分
・最大心拍数の70%以下なら 45分程度
【頻度】
週に2~5回
練習頻度を最小にしたい場合に推奨する設定は以下の通りです。
【頻度】
週に2回
【メニュー例】
・最大心拍数の70%を下回らないペースで、できるだけ長く走る【距離走】
・運動強度90%を超えないペースで、できるだけ長く走る【ペース走】
今回は全身持久力を向上させる練習というテーマでしたが、このような何かしらの「走力向上」を目指す練習は「ポイント練習」と言います。
ポイント練習については上記の記事を参考にしてください。
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