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長年ランニングを続けてきて、新しくトライアスロンに挑戦したという方は多いです。でも、次のような不安があってトライアスロンを始められずにいる人もいるのではないでしょうか。
- 水泳は学校の授業くらいしか経験がなくて、長距離を泳ぐ姿が想像できない。足の届かない海を泳ぐのも怖い。
- 自転車はママチャリしか乗ったことがない。ロードバイクにちゃんと乗れるのか自信がない。
- ランニングはずっとしてきたけれど、水泳と自転車の後に走れるのか不安。
ランナーがトライアスロンに興味を持ったとしても、種目が多いトライアスロンに取り組むにはたくさんの不安や疑問がでてきます。
そこでこの記事では、ランニング経験者(10kmは走れる)が安全にトライアスロン(オリンピックディスタンス)を完走するために必要な練習のポイント5つについて、詳しく解説します。
走るだけでも素晴らしい活動ですが、トライアスロンは種目が増えることでまた違う達成感があります。是非とも多くのランナーにトライアスロンを完走してほしいと思っています。
オリンピックディスタンスの大会の制限時間は4時間に設定されていることが多いです。
4時間の内訳はおよそ以下のように想定します。
- スイム1.5km 50分
- トランジション1 10分
- バイク40km 1時間45分
- トランジション2 5分
- ラン10km 70分
これらのタイムを設定するにあたり、以下の記事を参考にしました。
私の経験に基づく「練習のポイント5選」はこちらです。
では、1つ1つ解説していきます。
練習の優先度はスイム→ラン→バイクである
「安全に完走」を目指す場合、最優先で練習をすべきはスイムです。
スイムの能力不足は命に関わるので、十分に準備が必要です。ランやバイクのように、途中で立ち止まって休憩ということが簡単にはできません。十分に練習をして、不安をなくしておきましょう。
2番目に重要なのはランニングの練習です。
ランナーから転向するので、ランニングは得意な種目のはずです。しかし、元気な状態からスタートしていた今までと違い、スイムとバイクで疲労した状態でのスタートになります。足が攣るなどすると大幅に時間を失いますので、走力は落とさないようにしましょう。
3番目がバイクの練習です。
3種目の中で、ランナーにとって一番問題が少ないのはバイクだと感じています。ランニングで10kmを60分で走れる脚力や心肺機能があるのであれば、自転車で40kmを1時間45分(時速23km)というのは、それほど難しくありません。
スイムは「ツービートクロール」で1500m泳げるようにする
最大の心配事は、海で1.5km泳げるのかということでしょう。「プールでクロールを泳げる」という人はある程度いても、「海で1.5km泳げる」という人はほとんどいないでしょう。一生のうちに海で1.5kmを泳ぐ経験をする人は極めて少数だと思います。
ツービートクロールを身につける
「ツービートクロール」という泳法を身につける必要があります。脚をバタバタさせるのではなく、腕を1回かくときに、脚も1回キックするクロールです。
「ツービートクロール」が必要な理由は主に2つです。
トライアスロンはゴールまでの時間を競う競技ですのでスピードが求められます。最もスピードを出せる泳法はクロールです。しかし、脚をバタバタさせるクロールでは、エネルギーを大量に消費し、バイクやランで使う脚を疲れさせてしまいます。エネルギー消費と脚の疲労を抑えるためにはツービートクロールが必要です。
そして、トライアスロンのスイムは、レーンの定められていない海で他の競技者と接近した状態で泳ぎます。平泳ぎをして腕や脚を横に広げたり、脚を曲げ伸ばししていると、他の選手に衝突してしまいます。できるだけ衝突を避けようとするのであれば、ツービートクロールが適しています。
ツービートクロールの練習法
25mをクロールで泳げるという人は、YouTubeなどの動画視聴をして自分で練習するという方法でもツービートクロールを身に着けることは可能です。私のおすすめはYouTubeチャンネルのトモキンスイミング教室です。非常にわかりやすい説明を動画でされています。
しかし、できれば直接教えてもらったほうがいいです。お金に余裕のある人はスイミング教室に通うことをおすすめします。
スイムの経験が乏しくクロールが泳げないのであれば、スイミング教室に通って泳ぎ方を教えてもらいましょう。泳げない状態からの完全独学は難しいです。泳ぎ方さえ身についてしまえば距離の延長は自分ひとりでも可能ですので、まずは正しい泳ぎ方を身につけましょう。
ツービートクロールを身につけたら連続で泳ぐ距離をどんどん延長していきましょう。最低でも、プールで1500m連続で泳げることは確認しておきたいところです。
プールで1500mを45分で泳げるようになれば、海で1500mを50分で泳ぐことが十分に可能です。なお、25mを45秒で泳ぎ続けると、1500mで45分になります。
きつくなったら平泳ぎで休んで良い
海で選手が入り乱れ、混雑している状況での平泳ぎをすると周囲に迷惑がかかるのは事実です。しかし、平泳ぎは禁止ではありません。
本番、クロールに疲れたら少し平泳ぎで休憩しましょう。平泳ぎの方が落ち着いて呼吸をできますし、ブイの位置や人の流れを見て進行方向を確認することもできます。私も初トライアスロンでは何度も平泳ぎをしました。ただし、周囲の人に手足が当たらないように注意しましょう。
「いざとなったら平泳ぎ」。これができると思っているだけで随分と心に余裕ができます。
あと、ブイにつかまって休憩というのがルール上認められています。緊急時にパニックにならないように、ブイでの休憩はOKと覚えておきましょう。
ウェットスーツを着用して海で泳ぐ経験をする
スイムの仕上げはウェットスーツの着用と、海での練習です。
ウェットスーツの効果
ウェットスーツには「保温性がある」「浮力を得られる」「外部からの刺激から身を守る」などの効果があります。
その一方、体を動かしづらいと感じることもあります。本番でいきなり着用するのは避けた方がよいです。
ウェットスーツのレンタル
ウェットスーツについて、初トライアスロンでは購入でなくレンタルをおすすめします。ウェットスーツは消耗品で寿命は3~4年と言われています。初トライアスロンの後、2回目がいつになるかは分からないですし、トレーニングを続けているうちに体形が変化する可能性も高いです。
私は初トライアスロンのとき、トライアーティストさんで「水陸両用」というウェットスーツをレンタルしました。1週間5000円(送料別)で、練習と本番で2回レンタルしたとしても購入よりは安く済みます。
想定外のこととして、腕部分のウェットスーツによって腕にまで浮力が発生するので、腕を入水させることに抵抗がかかりました。次回はノースリーブタイプにしようかと考えています。
波のある海で泳ぐ
ウェットスーツを着用して、波のある海で泳ぐ経験しましょう。息継ぎで顔を横に向けるとき、波がある海のほうが口の中に水が入る可能性が増えます。
誰もいない海ではなく、自分以外にも利用者がいる海で練習しましょう。沖に向かって泳いでいくのは危険ですので、海岸に沿って泳ぎましょう。
もしものときのために私はスイムブイを購入しています。足が攣るなどの緊急時にはブイにつかまることができます。ブイの中に携帯電話や家や車のカギなどを入れられるので、一人で海に行けます。
ランは10kmを60分で走れる能力があればOK
トライアスロンではランは最後のパートです。スイムとバイクで全身が疲労した状態でスタートしますので、いつも通りのパフォーマンスは期待できません。しかし、スイムでは脚はあまり使わず、バイクの脚の使い方はランニングとは異なりますので、「今から10km走るなんて無理!」というほど疲労困憊ではありません。
10kmを60分で走れる能力があれば、スイムとバイク後の10kmを70分で走ることは十分に可能です。
既に10kmを60分で走れる能力がある人は現状維持をすればOKです。バイクで疲労した状態でのランに慣れるために、「ブリックラン」をしましょう。ブリックランとは、脚が疲労するまでバイクで練習をして、その後に走る練習です。ブリックランをすると、バイクで疲労した状態で自分がどのくらい走ることができるのかも知ることができ、本番での想定外を減らすことができます。
まだ10kmを60分で走るのは難しいという人のための練習を2種類提案します。
速いペースでのペース走
10kmを速く走れるようになりたいときに最も避けるべき練習は、10kmをいつものペースで走る練習です。今の能力でいつもと同じように10kmを走っていても、走力の向上は望めません。
今よりも速く走れるようになりたいのであれば、今より速いペースで走る練習をしましょう。距離は短くてもいいです。具体例を挙げます。
段階を追ってペースを上げ、距離を伸ばしていきましょう。繰り返しますが、今のスピード・走力のままいつもどおり10kmを走るのは、あまり成長が望めません。
能力を向上させるための「ポイント練習」の考え方については以下の記事で詳しく説明しています。
1km6分でのペース走
1km5分30秒で走る練習をできるようになると、1km6分が楽になります。1km6分ペースで走るペース走を行い、連続で走れる距離を10kmまでだんだんと延長しましょう。スイムとバイクの後なので体力が不安だと思うのであれば、15kmまで走れるようにしておけば十分でしょう。
バイクは所有している自転車で40kmくらい漕いでおけばOK
4時間で完走する場合、バイク40kmのタイムは1時間45分を想定しています。時速23kmです。
トライアスロンの大会では、ママチャリやクロスバイク、マウンテンバイクは禁止で、ロードバイクを求められることがほとんどです。ちゃんとしたロードバイクは、ママチャリやクロスバイクよりも楽にスピードを出せます。私のまとめたデータからしても、40kmを1時間45分で走るのはそれほど難しいことではありません。ランニングで10kmを60分で走れる脚力や心肺機能があるのであれば、自転車で40kmを1時間45分(時速23km)というのは、難しくありません。
以下の4点は、私の経験に基づく考えです。
レース本番のロードバイクはレンタルがおすすめ
ロードバイクは、道具がたくさん必要なトライアスロンの中で最も高価なアイテムです。エントリーモデルでも15万円前後はします。
5万円もしないロードバイクも見かけますが、ロードバイクとは思えないくらい重かったり、各所の部品でコストカットされていたりします。安いからと言って安易に購入するのは後悔の元です。
そして、ロードバイクを買ったけれども、トライアスロンの大会に一度出てからすぐに乗らなくなるなどという可能性も十分にあり得ます。
それらのことから、初トライアスロンのロードバイクはレンタルでも良いと考えています。
私が初トライアスロンでレンタルしたときは、7,560円でPINARELLOのFP3を貸してもらえました。フレームだけで22万8000円するロードバイクです。7,560円でこれに乗れるのは、ラッキーでした。
練習で使用する自転車は、今持っている自転車でいい
初トライアスロンがレンタルでもいいとなると、普段の練習で使用する自転車はどうするのか。結論は、既に所有している自転車(ママチャリ、クロスバイク、マウンテンバイク、折り畳み自転車など)で問題ありません。
普通の自転車に乗れる人は、ロードバイクでもそこそこ乗れます。ただし、ロードバイクは前傾姿勢が強かったり、変速機がSTIレバーという特殊な機構になっていたりするので初めてだと扱いにくかったりします。不安があれば本番前に一度レンタルして、前傾姿勢とSTIレバーの操作を経験しておけば良いです。
ビンディングシューズ・ペダルは必須ではない
ロードバイクに乗っているほとんどの人が、「ビンディングペダル」と「ビンディングシューズ」を使用しています。これを使用すると、足とペダルが固定されるのでペダルを踏む力だけでなくペダルを引き上げる力も回転力に変えられます。
ですが、停車する際にシューズをペダルからうまく外せないと、足を地面につくことができずに転倒します。これを「立ちゴケ」といいます。立ちゴケは誰もが経験する通過儀礼とまで言われています。ビンディングペダル・シューズは、一度も使ったことがない人がレース本番でいきなり使用するものではないです。
40kmを1時間45分で走るのであれば、普通のペダルである「フラットペダル」で十分です。しかも、フラットペダルであればバイクからランニングに切り替えるときにも靴を履き替える必要がないので、トランジション時間の短縮にもなります。レンタルする際もショップに「フラットペダルで」と伝えておきましょう。
もちろん私は初のトライアスロンでフラットペダルを使用しました。
腕で上半身を支えると上腕三頭筋が疲れる
ロードバイクでは前傾姿勢をとることになりますが、腕で上半身を支えると、上腕三頭筋がものすごく疲れます。上腕三頭筋は力こぶの裏側にあり、肘を伸ばす作用があります。40km・1時間45分も腕で上半身を支え続けると、上腕三頭筋が攣りそうになります。
肘を伸ばしっぱなしにするなど、同一の姿勢で体を支え続けるのはよくありません。肘を曲げたり、伸ばしたり、ハンドルを握る手の位置を変えたりしましょう。
腕に頼りすぎない姿勢を身に着けるのが理想ですが、腕を全く使わないのは無理ですので、練習で腕も実際に使ってあげて、ある程度は慣らしておきましょう。
まとめ
ランナーがトライアスロン・オリンピックディスタンスの完走を目指すときに必要な練習のポイント5選について説明しました。
トライアスロンの完走は、ランニングを長年続けてきた人にもとても新鮮な達成感を与えてくれます。是非とも多くのランナーにトライアスロンに挑戦していただきたく思っています。
上記のポイントを押さえて、不安を克服してトライアスリートになりましょう!
私が初オリンピックディスタンスを3時間ほどで完走した時の練習内容は、こちらの記事で詳細に公開しています。
「初トライアスロンに必要だった最小限の準備物」というタイトルで記事を書いています。私が初トライアスロンに出場する前に購入したもの、レンタルしたもの、その費用をまとめております。道具を買いそろえる前にご一読ください。
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