まだマラソンを完走したことのない人が、『タイムはともかく42.195kmを完走したい!』という場合、必要最低限の練習とはどのくらいでしょうか?
全くジョギング・ランニング経験のない人にはなかなか想像できないと思います。
フルマラソンには制限時間が設けられていますので、制限時間内にゴールするためには最低限のスピードが必要です。
そして最後まで走り切るには、耐えられる脚と心臓が必要です。
同じフルマラソン完走でも、必要な練習は人によって違います。
「自分の出場する大会の制限時間」は大事です。
さらに、「どのような形でフルマラソンを完走したいのか」によって変わります。
今から詳しく説明していきますね。
フルマラソンの制限時間は?そこから算出されるスピードは?
マラソン大会にはたいてい制限時間が設定されています。
長いもので8時間。
多くは6〜7時間という状況です。
目標タイム | 6時間 | 7時間 | 8時間 |
時速 | 7.03km | 6.03km | 5.27km |
100m | 51秒19 | 59秒72 | 68秒25 |
1km | 8分31秒 | 9分57秒 | 11分22秒 |
5km | 42分39秒 | 49分46秒 | 56分52秒 |
10km | 1時間25分19秒 | 1時間39分32秒 | 1時間53分45秒 |
20㎞ | 2時間50分38秒 | 3時間19分04秒 | 3時間47分30秒 |
ハーフマラソン | 3時間00分00秒 | 3時間30分00秒 | 4時間00分00秒 |
30km | 4時間15分57秒 | 4時間58分36秒 | 5時間41分16秒 |
40km | 5時間41分16秒 | 6時間38分09秒 | 7時間35分01秒 |
フルマラソン | 6時間00分00秒 | 7時間00分00秒 | 8時間00分00秒 |
これらのスピードで走り続けたいのであれば、練習ではこのスピードより速く走っておく必要があります。
「速く」とはどれくらいか具体的な数字が欲しい方もおられると思いますので、具体的な例を挙げましょう。このようなペース設定はいかがでしょうか。
練習:目標タイムのペースより、1kmあたり1分速いペースで走る
本番:目標タイムのペースより、1kmあたり30秒速いペースで走る
具体的にはこうなります。
目標タイム | 6時間 | 7時間 | 8時間 |
平均ペース | 8分31秒/km | 9分57秒/km | 11分22秒/km |
練習ペース | 7分30秒/km | 9分00秒/km | 10分20秒/km |
本番ペース | 8分00秒/km | 9分30秒/km | 10分50秒/km |
本番ペースで ゴールできたら | 5時間37分34秒 | 6時間40分52秒 | 7時間37分07秒 |
初マラソンではどうしても後半はトラブルなどで減速する可能性があるので、本番は制限時間ギリギリより少しくらい余裕をもって走っておいたほうがいいです。
初マラソン完走を目指す方が練習で42.195kmを走ることはまずないでしょう。練習での走行距離が本番より短いぶん、代わりにスピードは少し速いものに慣れておきましょう。そうすることで、本番のスピードがゆっくりに感じられます。
では、このスピードでどれくらいの距離を走りましょうか。
それは、みなさんが「どのような形でフルマラソンを完走したいのか」によります。
どのような形でフルマラソン完走をしたいのか
以下のようなパターンが考えられます。
- レース本番は、完走できるかできないかのドキドキやスリルを味わいたい
- ある程度練習で手応えをつかんで、確実に完走したい
- 歩いたり、立ち止まったりすることなく完走したい
レース本番で完走できるかできないかのドキドキやスリルを味わいたい
結果の分からないなチャレンジを楽しみたいという人は、練習で経験する距離は短めがよいです。
練習をして鍛えれば鍛えるほど完走する自分の姿が想像できてしまって、ドキドキやスリルは減ってしまうからです。
練習で10kmまで走れるのを確認できたら、フルマラソン完走の可能性が少し出てくるとおもいます。
ただし、あまりオススメはしません。
その程度の走行経験でフルマラソン完走まで無理に走りきると、ケガをする可能性が高いからです。
心臓に負担をかけすぎると、心臓に何かを抱えている方は心停止の心配もあるので、無理は禁物です。本人が知らないだけで未発見の異常がある場合もあります。
心臓や呼吸に負担を感じるようなペースは禁物で、ゆっくり走りましょう。
10kmまでしか経験していないと、おそらく15~20kmあたりで関節の痛みや筋痙攣などが現れます。立ち止まったり、足をストレッチしたりして休憩しながら走る、あるいは歩くことになります。心が折れてリタイアしてしまう可能性もあります。
制限時間よりかなり余裕をもったペースで練習をしておけば、途中で大幅に減速しても制限時間内に完走できる可能性は高いですが、制限時間ギリギリでしか練習しなかった場合は制限時間内に完走できない危険性が高いです。
繰り返しますが、無理は禁物です!10kmの練習でリタイアを経験したのであれば、練習の距離を延ばして何度でも再挑戦すればいいのですから。
ある程度練習で手応えをつかんで、確実に完走したい。
せっかく練習してお金を払ってわざわざ出場するのだから、完走できないのは納得できない。そのような人は、練習で経験する距離を42.195kmに近付けるとそれだけ確実な完走に近づきます。当たり前といえば当たり前です
20kmまで走ったことがあれば、おそらく25~30kmあたりでトラブルが起きます。まだまだ先は長いですが、10kmしか経験していない場合よりは格段に完走できる可能性は高いです。
30kmまで走ったことがあれば、おそらく35~40kmあたりでトラブルが起きます。
残りでペースが落ちたとしても、制限時間内に完走できる可能性は非常に高いと思います。
歩いたり、立ち止まったりすることなく完走したい
『歩く、立ち止まる』というのを無しにすると、難易度が一気に上がります。
上でも書いているように、走ったことがない領域に入ると関節が痛みだしたり、足が攣ったりして止まる可能性がどうしても出てくるからです。
最初から最後まで、絶対に歩かずに立ち止まらずに走り続けて完走したいという人は、せめて35kmまでは経験が必要だと思います。35kmでも足りないかもしれません。
ナマケモノのフルマラソンはどうだった?
私の場合、陸上競技部で中長距離をやってきた土台があったので、初マラソンでも完走はできるだろうなと思っていました。
1km4分30秒ペースで20kmまで練習して初マラソン(ホノルルマラソン)を迎えました。
本番では1km5分ペースで走っていたのですが、20kmくらいで膝関節が痛み始め、大腿四頭筋が攣りそうになり、そして少し靴擦れ発生という状況になりました。
たまに歩いたりしながらなんとか3時間39分10秒で完走できました。
2回目のフルマラソンも1km4分30秒ペースで24kmまで練習して出場しました。
股関節と膝関節に不安を抱えたまま出場したら5kmで膝が痛みだしました。
20km過ぎたあたりから筋に疲労を感じるようになり、筋痙攣しそうになり30kmでリタイアしました。
3回目はサブスリー達成するつもりで練習して、42.195km近く走る『ほぼマラソン』を3度してから本番を迎えたました。
ところが、35kmからサブスリーペースを維持できなくなり、37kmで脚が攣って歩いたり立ち止まったりするようになりました。
なんとか完走していますが、残り7kmは1km7~8分ペースまで落ちています。
3時間23分51秒でゴールしました。
4回目は『ほぼマラソン』を5回経験してから出場しました。
それでも34km地点で足が攣りそうになりました。
なんとか止まらずに最後まで走り続けることができて、このときにサブスリー達成(2時間57分14秒)です。
筋痙攣を起こさずに、止まらずに歩かずに完走というのは難易度が高いことがお分かりいただけると思います。
まとめ
- フルマラソン完走のために必要な練習は、「自分の出場する大会の制限時間」と「どのような形でフルマラソンを完走したいのか」によって決まります。
- 「制限時間」に合わせて練習のペースを決めて、「自分がどのような形でフルマラソン完走をしたいのか」に合わせて練習で経験する走行距離を決めましょう。
- 最低10kmくらい走れていると、歩きながらでも完走できる可能性が少しでてくると思います。ただし、あまりお勧めはしません。
- 10km以上は距離を延ばしたぶんだけ完走できる可能性が高くなります。30kmを経験しているとかなり安心です。
- 最後まで止まらず歩かず完走したい人は、少なくとも35kmは連続で走る経験をしたほうがいいと思います。難易度は高めです。
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